みちのく潮風トレイル歩行録

八戸~仙台まで歩きました。 みちのく潮風トレイルを歩いた時の思い出を、当時の記録や記憶を頼りに書いていきます

岩手県田野畑村 鵜の巣園地~岩泉町 御殿崎自然保養林

 2021年10月9日、この日は前回(8月8日)と同じく、踏破済みの区間でまだ歩いたことのない正式ルートを歩くため、鵜の巣園地から小本川水門のセクションハイクを行った。
 鵜の巣園地までは公共交通機関がなく、車で行くかタクシーを利用するしかない。今回は三陸鉄道岩泉小本駅に車を置いて、駅からタクシーを利用することにした。
 タクシーで駅を出発してすぐ、運転手さんが急に車を停め、怯えた様子で私に話しかけてきた。この時私は初めて知ったのだが、鵜の巣断崖は自殺の名所らしく、一人でそこに向かおうとした私はどうやら「そういう人」だと思われたらしい。トレイルをしていると言って誤解を解いたが、その運転手さんはみちのく潮風トレイルのことを知らなかった。鵜の巣園地に向かう途中で話を聞いたが、過去に何人かそういう人を乗せたことがあるらしい。その運転手さんにはみちのく潮風トレイルのことを話したので、これから一人で鵜の巣断崖へタクシーを利用する人はハイカーの恰好をしていれば怪しまれることはないと思う。多分。

 タクシーに鵜の巣園地駐車場に降ろしてもらった後は、展望台を見てから国道方面に向け歩き始める。800m程歩くと、左手に未舗装路への分岐がある。

 この「体力的難路」のインパクト。みちのく潮風トレイルのコミュニティ等で情報収集したところ、この標識が設置されているのはこの区間だけらしい。
 一瞬、前回の小袖海女センター~三陸鉄道陸中野田駅の悪夢が頭をよぎるが、意を決し未舗装路へと入っていく。
 歩いてすぐに下りがあり、谷底のような場所に出る。ここが田野畑村と岩泉町の境界だ。この区間も前回と同じ、50~100m程のアップダウンが何箇所かあり、途中に一箇所150mくらいのアップダウンがある。
 最初の谷を登った後は比較的緩やかな道を進むが、しばらく進むと一気に150m程の下りがある。公式マップに急な階段と書かれている所だ。降りた先は海に面した谷で、川が流れている。公式マップには須久洞漁港と書かれているが、どう見てもただの海岸にしか見えない。

 急な階段を降りきった所から上りの方を見たところ。

 ここからはまた150m程の登りが始まる訳だが、登り始めてすぐに、前方右手の繁みから突如、大きな生き物がヌッと姿を現した。一瞬ビビったが、カモシカだった。

 トレイルルート上でカモシカに出会うのはこれが初めてだった。カモシカはすぐに左手の繁みの中に消えていった。
 登った先は御殿崎自然保養林となっている。
 

 続く。