牛転峠に着く頃には水はとうに尽き、喉の渇きに悩まされた。あそこで引き返しておけば、と後悔するがもう遅い。ここまで来たら進むしかない。
峠から海岸までの道をひたすら歩く。喉の渇きはピークに達し、木の葉についた水滴を舐めながら進んだ。脱水症状で行き倒れ、という言葉がふと頭をよぎる頃、開けた場所に出た。旧タブの木荘という仮設住宅のある場所だった。
仮説住宅に近づくと、家の前にその家の家族がいたので、近くに自販機が無いか尋ねてみた。もし無ければ土下座してでも水を貰おうと考えていた。するとすぐ近くに自販機があると教えてくれた。助かった!!
その家の女の子二人が自販機まで案内してくれるというのでついて行く。途中でどこから来たのと聞かれたので、船越半島を歩いてここまで周って来たと言ったら驚いていた。
自販機はすぐ近くの仮設の公民館のような建物の前にあった。女の子二人にお礼を言い、すぐ炭酸飲料を購入して飲む。五臓六腑に染み渡るとはこのことだ。その後さらにお茶を飲み、水を2本買った後休憩して出発した。
船越半島も残りわずか。ここまで来ると最大の難所は越えた感じだ。そのまま歩いて荒神社に到着。
荒神社からは海岸沿いの道を船越漁港まで歩く。途中に海水浴場や公園なんかがあり、数時間前とはえらい違いだ。その後、45号線に合流し、ビジネスインやまだに戻る。
この日は喉の渇きや虻の襲撃等、今までのトレイルで一番大変だった。何とか1日で踏破できたが、船越半島は今でもトラウマになっている。
続く。